マスメディアの憂鬱

実は、数ヶ月前からこういうタイトルのブログエントリを数回に分けて書こうと思いながら、未完のまま公開できずにいます。問題点を整理し、自分が思い描くローカルメディアビジネスの方向性をコンパクトに、しかもポジティブにまとめたいと思っているのですが、これがかなり苦戦しているのです。

そんな中、苦悩に追い討ちをかける「特集」が、週刊ダイヤモンドで組まれました。タイトルは、「新聞・テレビ複合不況~崖っ縁に立つマスメディアの王者」(週刊 ダイヤモンド 2008年 12/6号)

ここ1~2年、マスメディアのビジネスモデル崩壊を予測する(業界にとって)衝撃的な本の出版や、雑誌の特集が繰り返されました。それらは、マスメディアの旧態依然としたビジネスモデル、経営体質から、やがて訪れるであろう窮地を予言した内容が多かったように思います。その構造的な問題に、世界的な金融不安が追い討ちをかける状況下での今回の特集。私にとっては、これまでに読んだどの書籍、雑誌よりもずっしりと重くのしかかりました。これまでのモノがボディブローだったなら、今回のモノはトドメの一歩手前の有効打といった感じでしょうか。

内容に深入りすればするほど、ポジティブでいられなくなりそうなので(笑)、まず、さらりと感想を。

前回の特集「新聞没落」も、なかなか鋭い内容でしたが、今回は、「新聞・テレビ」という、オールドメディア両巨頭をひと括りにしたことで、「マス」メディアのビジネスモデルの限界が、より明らかにされています。さらに、新聞に限っていえば「〝押し紙〟にメスを入れる新聞業界」、という構図が新しい視点として目をひきました。この辺りの背景にあるファクターといういう意味では、記事化されていない部分、もしくは取材が及んでいない部分も多いかとは思うのですが、全般的には細部まで取材されているし、業界のありのままが、見事に書かれています。むしろ、ここまでの論拠を準備した同誌編集部には頭が下がるし、皮肉にも、広告費ではインターネットに抜かれたといわれている「雑誌」という媒体の魅力、可能性を、改めて感じることになったというのも事実です。

話は変わりますが、8日、新聞業界にとって大きなトピックが舞い込みました。
米メディア大手、トリビューン破産申請か LAタイムズなど発行(MSN産経ニュース)

ビジネスモデルがどうこうということではなく、もっと本質的な何かが問われ始めたのだと思います。そして、このうねりは、決して海の向こうの話ではないということが、前述の特集を読めば明らかです。