2月13日に、鹿児島県肝付町の大浦地区を訪ねました。大浦地区は、13世帯20数人が暮らす集落で、ほとんどの方が70歳以上。いわゆる限界集落と呼ばれる場所です。肝付町役場から車で2時間弱、海と山に挟まれた比較的狭いところに、数件の家が点在し棚田が広がっていて、眼下には大隅海峡が望めるというようなロケーションでした。九州ではよく聞く話ですが、平家の落人伝説も残っているようです。まさに地勢的には伝説があるのもうなずけるような、そんな周辺と隔離された場所という印象を受けました。
訪れたメンバーは、役場で情報政策を担当される方、町で地域情報化の研究活動を行なっている九州テレコム振興センターの方と私の3人。天気も良かったので、道路脇の地べたに腰掛けてコンビニのおにぎりを頬張りながら、地元の方とひたすら雑談を楽しんできました。
「買い物はどこに行きます?」「廃校になった学校はピーク時はどのくらい子どもがいたんですか?」「子供さんやお孫さんはどこに住んでいらっしゃいますか」「地元に帰って来る方はいないんですか?」とか諸々と。そうするうちに、学生時代にやった民俗学のフィールドワークが懐かしくなって、「何か、お祭りとかやってないんですか?」「正月飾りは?」といった話題まで。残念ながら、地域に伝わっていた祭りは10年ほど前に途切れていました。
実は訪問の主目的は、この大浦地区とインターネットを掛け合わせることで何ができるんだろう、ということを考えることでした。肝付町内には、光インターネット環境が隈なく張り巡らされているので、これは資源として上手く活用して行きたい。そういった視点から考えると、見守りや買い物弱者対策など、色々なインターネットによる課題解決は見えてきます。ただ、これはこれでとても重要な視点なのですが、もっと長いスパン、10年、20年、50年、、、で、このなくなるかもしれない集落とインターネットを掛けあわせた時に何ができるのか、そんなことを考えることも必要なのではないでしょうか。
最近、日本民俗学の父、柳田国男がいま生きていたら、インターネットをどう活用したのだろうということをよく妄想します。そろそろ、この妄想も形にかえていかなければと考えています。