WANとGoogle

メディアパブで、世界新聞協会(WAN)とGoogleの話題が紹介されていました。再びコンテンツクリエーターの権利を尊重するようにと、WANがGoogleに抗議文を出したのだそうです。

このブログでも06年8月に、「WANが検索エンジンに対価を求めていく方向性を持っている」と紹介したのですが、正直、「まだ言ってるの?」という感が拭えません。ちょうどその頃、日本の新聞業界内でも「新聞社が全社一丸となって検索系ポータルに記事をクロール、インデックスさせなければ、ネット上でも記事有料化モデルが構築できる」などという乱暴な論議が一部で展開されていたことを思い出します。

今、新聞に求められていることは、自分たちのポジションや価値観を変えることなく、インターネットから対価を得る小手先の戦術を練ることではありません。情報流通の仕組み自体が変わっていることを再認識し、新聞の相対的価値変化を受け入れたうえで、メディアビジネスを再構築すべきなのです。
当たり前のことなのですが強み弱みを再確認し、インターネットも道具として最大限に活用しながら組み立てなおすというごくシンプルな作業を、スピード感を持ってやればいいのだと思います。

実際に、ここ1年くらいの色々な新聞社の取り組みを見ていると、こういった観点で戦略を推し進めた新聞社が一定の成果を残しているように思います。

流れを堰き止めることに無駄な労力をかけるより、流れに上手く乗る方法を考えるべきです。ただ、乗り遅れた分をどう取り戻すのかという大きなハードルはあるのだと思いますが、そこから目を背けるほど愚かな行為はないのではないでしょうか。