ラジオ×ウェブ

最近、「ラジオ」というワードを、ネット上でよく見かけるようになりました。CNETで検索してみても、「Radiko」「i-コミュラジ」「ニコラジ」など、この数ヶ月に新しいラジオ絡みのサービスが、立て続けに登場したことが分かります。

ニコニコ動画、生放送のラジオ番組「ニコラジ」を開始(CNETJapan)
iPhoneでコミュニティFMラジオが聴けるアプリ「i-コミュラジ」発売(CNETJapan)
PCで聴けるラジオ「radiko」初週は523万配信–公式ガジェット12日公開(CNETJapan)

ラジオ局が、放送と同時に同じコンテンツをストリーミング配信することを「サイマルラジオ」というらしいのですが、このキーワードも随分聞き慣れてきた感があります。

私は、かれこれ25年くらい前、徹底的にラジオを聞いていた世代です。オールナイトニッポンはもちろん聴いていましたし、福岡のAM局、KBC九州朝日放送でやっていた人気番組「PAO-N僕らラジオ異星人」という番組では、ハガキ職人としても活動していました(笑)お目当てのパーソナリティ、コーナー宛にハガキを書いては、翌週、翌々週の番組を息を殺して聴いているみたいな、そんな感じでした。ハガキが読まれ、憧れのパーソナリティにコメントしてもらったりすると、本当に鼓動がバクバクと早くなり、目が冴えて眠れなくなっていました。

そういえば数年前、これに似た感覚を覚えました。Twitterクローン(という呼び方は失礼かな)の先駆け的サービス「Timelog」で、ネットラジオと連動したサービスをやっていたのです。ネットアイドルらしいパーソナリティが、それこそ昔のAM、深夜放送のようなノリでトークを進め、Timelog上の番組のタイムラインからコメントを拾い読みしてくれるのです。私も何度か参加してみたのですが、ハガキが読まれたあのドキドキ感を味わう事ができました。さらには、リアルタイム性というか、自身の情報発信に対してのレスポンスに対するタイムラグがないためか、妙な身近さ、親近感を覚えました。

いつものことながら前置が長くなりましたが(笑)
ここ最近のラジオ関連のトピック、これらがいいスパイラルを生むには、2つのポイントがあるのではないでしょうか。

一つは、ラジオという既存のマスメディアが、ウェブを使うことで、不特定多数への情報到達から脱皮しようとしていることの価値を、どこに見いだしていくかということ。メディア側から考えると、リスナー(ユーザー)をリターゲティングし、デバイス等のシチュエーションの違いを重視した情報配信をし試みるのであれば、大きな意義があると思います。あとは、そこを流通する情報の指向性みたいなものを、いかに最適化できるかがキモなのでしょう。

二つめは、マスコミの原点とも言える「コミュニケーション」をいかに意識するかということ。今さらいうまでのことではないのですが、ウェブを使うことで、不特定多数へのより多くのリーチから、インタラクティブなコミュニケーションというメディア特性が生まれます。この特性×ラジオという組み合わせを活かし、これまでと違った情報価値をいかにデザインできるか、というところもキモなのではないでしょうか。

ある意味、すべての既存マスメディアにとって、細かなセグメンテーションは、自己否定の要素も含むので、戦略的に難しいところもあるのではないかと思います。ただ、この一連のラジオのトピックをみていると、業界としては、そのタブーを既に越えようとしているのかもしれない、とも思います。ウェブを使ってエリアの概念をまず取っ払う(一部ではできていないようですが)ところからスタートし、新たなユーザー層を見いだすという戦略は、他のメディアも大いに参考にすべきではないでしょうか。

あの、ハガキを読まれた時のドキドキ感を、どう演出していただけるか。この辺りのメディアデザインが、ラジオ深夜放送世代の私にとっては楽しみでもあります。