温故創新

先日「グーテンベルクからプランタンへ『印刷革命がはじまった』」という特別展を観るため、東京飯田橋の印刷博物館に行きました。新聞も紙媒体なので、ルーツは活版印刷にあると考えたからです。

グーテンベルクの活版印刷技術は、マルチン・ルターのプロテスタント運動拡散に一役かったことでも有名です。また、これに始まる印刷技術の進歩は、文書革命のみならず科学革命も引き起こしたといわれます。

新聞は、活版印刷機の超進化した高速輪転機という印刷機械で、同じ商品を大量に印刷し配布することでビジネスモデルを成り立たせています。しかし、消費者の価値観の多様化やインターネットの普及で、そのモデルは揺らぎはじめています。あちこちで、紙とネットの融合が論議され、そのモデルを繕うことに必死になっているように感じます。私自身もそういうエントリを時折立ててきました。しかしながら崩壊の理由は、インターネット普及により相対的に「新聞」の評価が落ちているのではなく、その姿勢に対する評価が絶対的に落ちているのかもしれない、と改めて感じました。

新聞は、まずはじめに忘れかけているその本質的な役割を再認識する作業をすべきなのかもしれません。その本質を抜きにしていくらネットとの融合を図っても、結局は他のポータルサイトとの差別化を図れずに廃れていくのではないかと、そんなことをグーテンベルクの活版印刷機の前で考えました。