匿名・実名について

随分多くの方々が「匿名・実名」について考察されています。あちらこちらでまとめがはじまっていますが、かなり遅ればせながらも考えたことを書いておくことにします。トラックバックもいただいておりましたので。

私は、ネット上の匿名を考えるとき『旅の恥はかき捨て』という言葉をまず思い出します。「旅先では知る人もいないし、長く滞在するわけでもないから、恥をかいてもその場限りのものである」という意味です。長く同じハンドルネームを使っているとその限りではなくなってくるのですが、少なくとも私がネット上で、自分の言葉を発信するようになった当初はかなりその感覚が強かったように思います。自分が日常身を置いている身近な空間がリアル社会だとすれば、旅先というのはある種の異空間です。ネットの世界も日常とかけ離れた異空間だったからこそ「旅の恥は…」に近い感覚があったのではないかと思います。「いざとなれば書かなければ良い、閉じればよい」と言うような逃げ道をどこかに準備していた(いる?)のではないかと。

でも仮に匿名であってもそのハンドルネームが板につき、個性を表現しうるものになり始めると、随分と趣が変わってくるのではないでしょうか。メールなどを介しリアル社会でのつながりに近づくとなおさらのことです。そうなるとハンドルネームは匿名のためのペルソナから、愛称、ニックネームに近いものにかわります。こうなるとネットの世界はもはや異空間ではなくなるわけで、恥をかき捨てるわけにはいかなくなります。旅つながりで考えると『旅は道連れ世は情け』といったドライに割り切れない関係に近づくといったところでしょうか。

話は変わりますが、多くの方々が「匿名実名」に関してエントリをたてられているのを読みながら「なぜ改めて今、匿名論議なんだろ」と思いました。しかし、多くのエントリにも書かれている通り、重要なのは「どちらであるべきだ」的な議論ではなく、匿名なりに自分の書くことに責任を持ち理性ある発信を、ということなのでしょう。ネット(ブログ)をより洗練された情報発信ツールにアップグレードしていくための自然発生的な作用なのかもしれませんね。

コメント

  1. 遅刻の上ちょびっとだけ:私にとって匿名実名

    ブログの匿名実名論争にすっかり乗り遅れたので、ちょびっとだけでお茶を濁します。

    基本的に好きにすればぁ、というスタンス。私は一応匿名ですが、社名などの属性を出してしまっているわけで、実名とほぼ変わりません。調べようと思えばすぐに見つかりますし、今更引っ込める理由もなく、今に至ります。むしろ私の雑記帳を見に来られる方は、佐賀新聞社員だからなんかメディアの内側の話しが聞けそうだ、と思ってやってくるわけで、私自身の威光やフェロモンで寄ってくるわけではありませんw つまり実名よりもその属性が重要視されるので、匿名で構わないのです。松岡さんの「世間体」が抑止力になるとの見解は、あからさまに会…

  2. 松岡美樹 より:

    トラバ、ありがとうございます。答えを強要してるみたいに思われやしまいか? というのも今回、感じたとまどいのひとつでした。ご興味なければ削除されてもいいから、ぐらいの気持ちだったのですが(^^;

    >重要なのは「どちらであるべきだ」的な議論ではなく、匿名なりに自分の書くことに責任を持ち理性ある発信を、ということなのでしょう。

    はい、その通りだと思います。エントリー中にも書きましたが、匿名か実名かというのは「手段」の問題ですから、「いい目的」が達成させるならばどちらでもいいんですね。今回はいろいろ勉強になりました。ありがとうございます。

  3. TBさせていただきました。
    だぶっている様ですので消しておいていただけますか。

  4. テサラック@管理人 より:

    >松岡美樹さん
    コメントありがとうございます。
    最近、匿名論やTB論、ブログとはそもそも何?とかそんな論議があちこちで盛んに行われていますね。普及したツールの使い方とそのモラルを巡る議論だとすると、ブログが一つの大きな壁を越えようとしている証拠なのかも、とか思いました。
    またトラックバックくださいね(笑)

  5. テサラック@管理人 より:

    >猫手企画@新聞屋さん
    いつもコメント、トラバありがとうございます。
    TB重複の件了解いたしました。1件削除させていただきます。

  6. 実名と匿名と仮名と

    あちこちのブログで「実名と匿名」論がいろいろと語られています。 私も以前の記事で