産経NetView

いよいよ10月1日から、電子新聞「産経NetView」がスタートしました。先月の記者発表以来、新聞の新たな挑戦として、多くのブログにも取り上げられました。論調は色々とあるようですが、概ね好評のようで、特に新聞20ページで315円という価格破壊に、驚きと評価の声が集まっているようです。また、動画や、紙面に掲載されなかった写真、様々なリンクコンテンツなど、紙の新聞の限界を超えた仕組みにも、注目が集まっています。確かに、記者会見の動画再生などは、文字だけで伝わらない雰囲気が分かり、面白いと思います。

ところで産経新聞といえば、自主休刊と言いながらも実質横並びの新聞休刊日に即売のみ発行したり、朝刊をワンコイン(100円)に値下げしたりと、新聞業界(内だけ)の常識に捕らわれない戦略をとったことでも知られています。ネットビューの料金の件もそうですが、凝り固まった概念に疑問を投げかける、同社の挑戦には敬意を表したいと思います。

しかし、今回のサービスがどうかといわれると、「ちょっと?」というのが正直なところです。たまたま、発表の直前に、「縦書き?横書き?」というエントリを書きましたが、個人的に「ちょっと?」と思うのが、新聞そのものを丸ごと表示してしまうというスタイルです。PCやネットの世界では、ブラウザひとつをとってみても「横書き」が基本のつくりになっています。その中で「縦書き」の新聞の文字を読むことにかなり抵抗を感じます。例えば、ブログのページのスクリーンショットを、ブログの文字コンテンツを読ませるのを目的に、丸ごと新聞紙上に貼り付けたら抵抗があるのと同じことではないでしょうか。やはり、デバイスの特徴にあわせた表現方法というのがあるのではないかと思います。

慣れれば大丈夫という声もあるようですが、個人的には「今はちょっと辛いかな」という感じです。とりあえず購読中なので、1ヶ月後くらいに「慣れてしまいました。もう宅配はいりません」とかいうエントリを書いているかもしれませんが…。

産経ネットビューも、きっとこれが最終形ではないと思います。今後、新聞の体裁をベースに、ネット技術を駆使した仕掛けが繰り広げられることと思いますが、新聞のスタイルにあまりにも固執しすぎると、ネットメディアのよさが生かしきれないような気もします。

もう一つ気になるのは、若年層に多い無購読者層が、これをきっかけに新聞の体裁を受け入れるかどうかということです。新規顧客獲得できればよいのですが、今まで紙の産経新聞に慣れ親しんだ読者がネットビューに移動するだけだったら、経営的には本末転倒な結果になるのかもしれません。他紙からネットビューへの大量移動が起これば話は別ですが。

その辺りまで含め、今回の「産経ネットビュー」には大いに注目していきたいと思います。


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