古きものが死に瀕している。でも誰も来るべきものを明確に見出せない。それがテサラック。

長いしっぽと情報発信

金曜日, 4月 8th, 2005

最近、あちこちでLongTailという言葉にお目にかかります。同時に恐竜の長い尻尾のようなグラフを目にします(この辺を参照)。LongTailはネット時代のマーケティングの象徴的事象として、多くのマーケターが注目しているようです。LongTailの登場でニッチ市場の底上げが進み、結果として2割の主力商品が売上全体の8割を占めるというマーケティングのセオリー、パレートの法則を成り立たなくさせているというのです。このパレートの法則、2年ほど前に初めて手にしたマーケティングの入門書で「100匹蟻がいると、そのうち20匹で80%の仕事をこなしている」と分かりやすく砕いた解説をしてあるのを目にし、妙に納得させられたのでよく覚えています。でもそのセオリーが崩壊するというのだから、興味津々です。

さて、FPNの徳力氏のブログで興味深いエントリーがありました。「ロングテール論とマスメディア存亡論の関係」というタイトルのエントリーには、

それが、ネット上の掲示板やブログという手軽な情報発信の手段に触れた人たちは、その(情報は受けるものだという)思い込みから徐々に開放されつつあります。
 ネットのツールを使えば自分で簡単に個人メディアを作れてしまうわけで、情報発信がプロだけの仕事ではないことに気づいてしまうわけですね。

と書かれ、イノベーションである個人メディアの集積が既存マスメディアを飲み込んでしまうかもしれないと述べられています(最後は、既存マスメディアと個人メディアの住み分けに落ち着くのでは、という所で結んでありますが)。

確かにこれまで、情報発信の多くは既存メディアと一握りの市民(識者とかよばれる人たち)に限られてきたわけです。パレートの法則に準えて言うと、20%の人が80%(もしくはそれ以上)の情報を牛耳っていたことになります。しかしながら、ネットの普及、特にウェブログの爆発的流行は、まさに、情報発信の世界で成り立っていたパレートの法則を崩壊に追い込んでしまったのです。ウェブログを通じた個人の情報発信は、LongTailによるニッチ市場の底上げと同じように、情報発信の絶対量を圧倒的に増やし、これまで80%の情報を支配していた既存メディアの情報支配の割合を著しく下げようとしているのです。既存マスメディアのビジネスモデルは、これまで情報ヒエラルキーの頂点に君臨することで成り立っていたわけですから、LongTailの出現によるパレートの法則崩壊、情報ヒエラルキー崩壊は、イコールビジネスモデル崩壊を意味しています。既存マスメディアが反射的に拒否反応を示す原因はその辺りにあるように思います。インターネットの情報は信頼できないとアナウンスすることで、自分たちの信頼性を強調するし、愛や心がないとアナウンスしては、自分たちと消費者の長年のお付き合いを強調し情に訴える。最近よく目にする姿です。

いま、既存マスメディアに求められているのは、LongTailによる法則崩壊を懸命に繕うことではないはずです。情報収集や編集スキルといったコアコンピタンスを最大限に活用し、LongTailの発信する情報との融合をはかることではないのでしょうか。

◇勉強させていただいたブログ◇

Netcom Eye 「ロングテール論とマスメディア存亡論の関係」
CNET Japan Blog「Long Tailとインターネットビジネスの基本則」
カトラーのマーケティング言論 「マツケンサンバ・ブームのLong tail構造」
ネットは新聞を殺すのか 「Long Tailとマスコミュニケーション全盛時代の終焉」
INTERNET Watch 「第47回 「長いしっぽ」が世界に革命を起こす」

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