金曜日, 9月 25th, 2009
二つ前のエントリで少しだけ触れた本、「ロックで独立する方法
」(忌野清志郎著)を読みました。久しぶりに3時間くらい本だけに向かい合って、一気にワーッと読破した感じでした。
彼を初めて見たのは25年くらい前、まだ自分が中学生の頃でした。当時は、あの奇抜な衣装とメークに近寄りがたさを覚え、しばらくは、RCサクセションを好んで聴くことはありませんでした。そして20歳ころ、たまたま友人のうちで聴いたトランジスタラジオがきっかけとなり、遅まきながら、彼らの世界にのめりこんでいきました。
と、何となくこのブログらしくない、素の姿になってしまいつつあるので軌道修正を、、、(笑)
「自分の両腕だけで食べていこうって人が、そう簡単に反省しちゃいけない」
これは、本の帯に記されている一文で、私に、この本を手にとるきっかけを与えてくれたひと言です。
40歳になるバンドマン清志郎が、様々な思いを経て、20年余続けてきたバンドを無期限活動休止にする。そんな複雑な思いと、彼の信念や生き様が詰め込まれたコトバだと、つくづく感じます。
彼の言説には一つの筋があります。
この本では、名指しで、色々なミュージシャンのことが書かれています。それも批評というか、言い方を変えると、彼の素直な感想としての厳しいコトバがならんでいます。ただ、それらのコトバの中に感じるのは、彼が現実を冷静に見据えた上で、自分の信念を貫こうとしている姿勢です。単なる評論ではなく、自ら率先して対案を示し、体現している強さみたいなものを感じずにはいられません。
自分も、もうすぐ四十路。
今読んでおいてよかったと、心から思える一冊でした。
Tags: books, rock
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火曜日, 12月 16th, 2008
とある広告関係の書籍を読んでいると、その中で松本清張氏の短編「空白の意匠
」が紹介されていました。最近、ビジネス書以外読んでいなかったのですが、どうしても気になって手にとりました。
この作品は、小さな地方新聞社と大手広告代理店の力関係が見事に描かれています。また、新聞社内部の、報道と営業の価値観の違いからくるせめぎあいなど、根の深い問題も、短編の中で見事に描写されています。
とある新薬の広告と、その新薬による事故の記事が、同日の紙面に掲載されます。広告は、大手代理店経由で掲載が決定したもの。記事は警察発表が、ほぼ、そのまま記事になるのですが、舞台となった地方紙は、他紙よりも詳細で具体的な内容で報道します。しかし、その新薬と事故の因果関係がないことが科学的に証明される、というところから話が急転します。
大手代理店の担当は怒り心頭で、その広告主どころか、この新聞社との全ての取引を停止すると脅しをかけてきます。このままでは、新聞の広告スペースを真っ白のまま発行することになってしまう、さぁどうする、という苦悩が襲いかかります。
この状況下で地方新聞社の営業を支配しているのは、その代理店の扱いが停止することイコール新聞社の経営自体が傾くこと、という恐怖感だけです。これを阻止できるのであれば手段は選ばない、というところが生々しく伝わってきます。ここには、広告の役割だとか、その効果だとか、編集権の独立だとか、ジャーナリズムだとかそんな発想は一切ありません。とにかく、スペースを空白にしないこと、大手代理店の機嫌をこれ以上損ねないことしかありません。
ところでこの短編、初版が1973年だそうです。作品の中にもでてくる、東京出張の際に夜行列車を使うシーンなどが時代を表しています。それから35年。インターネットの時代になり、広告ビジネス周辺もメディア周辺も大きく様変わりしました。ただ不思議なのは、35年前の作品であるにも関わらず、一部の描写を除けば、妙に生々しく、昨日今日のことのように感じらてしまうことです。中の人にとっては・・・。
Tags: ad, books, 新聞
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木曜日, 12月 4th, 2008
先日、とある会合で「君を幸せにする会社」の著者、天野敦之さんとご一緒する機会をいただきました。その席上では、ゆっくりお話することができなかったのですが、帰り際に声をかけていただき、著書までいただきました。某氏のブログに書評が書かれていたこともあり、気になる一冊ではあったのですが、まさかご本人から直にいただけるとは・・・。感謝です。
実は、そのブログでの書評を目にしたとき、そのタイトルが記憶に刻み込まれていました。
2006年1月、年頭にあたって、このブログで「人を幸せにするメディア」というエントリを書きました。既存メディアは、今こそ原点回帰し、そのスタイルではなく役割を見直すべし。そして、その役割を果たすことが、関わる全ての人たちを幸せにしているかを常に振り帰ろう・・・、という思いを込めたことを、今でもよく覚えています。手前味噌ですがそのエントリから少し・・・
じつは、「人を幸せにする・・・」というのは、昨年末にお会いした私どもの業界の先輩がおっしゃった言葉です。で、色々とお話をしていて、ふと考えた(反省した)のが、自分のやっていること(仕事)が「人を幸せにしているか」ということ。きれいごとかもしれませんが、その方とお話をして、自分の考えが行き着いたのが「人を幸せにするメディア」というキーワードでした。
この本の主人公「クマ太郎」は、大手企業に就職した後、社内公募でビジネススクール入学、ビジネスのイロハを習得したエリートです。ただ、父親が他界、若くしてリゾートホテルを継いだのですが、どうも経営が上手くいかないのです。ビジネススクールで学んだ手法をフルに活用しているのに、という悩みから全てが始まります。
これ以上書いてしまうとネタバレになってしまうので、あえて書きませんが。
クマ太郎が、さまざまな葛藤を経ながら行き着く一つの答えが、働くことの本当の意味であり、この本のタイトルにもある「幸せ」というキーワードなのです。その葛藤の描写に、すごくリアリティがあります。つい、自分自身と重ねてしまったり・・・。
天野さんにお会いしたは、11月26日の夕方。翌日の移動時間に読み始め、自宅に帰って就寝前には読破しました。物語風なのでサラサラと読めてしまうのですが、読み終えたあと、いろいろと考えさせられます。そして、その余韻が日に日に自身の中で大きくなっていく感じがします。はじめは、ビジネス書?自己啓発?と思いつつ読み進めたのですが、今思うのは、むしろ哲学書に近いかも知れないということです。
上手くいえませんが、尊敬する手塚治虫氏の漫画を読んだあとの感覚に似ています。
天野さん、ご献本ありがとうございました。
Tags: books
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